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2023/09/11 10:53

 

映画なんてもう久しく観てないなぁ。。

「こんにちは!母さん」てやつ
吉永小百合が出てる映画、
観てみたい!

私に聞こえるような一人言で話す母を
映画館に連れて行ったのは、
9/1に公開されたばかりの
山田洋次監督の作品。

 

大会社の人事部長として
日々神経をすり減らし、
家では妻との離婚問題。

大学生になった娘、舞(永野芽郁)との関係に
頭を悩まさせる神崎昭夫(大泉洋)は
久しぶりに母、福江(吉永小百合)が暮らす
東京下町の実家を訪ねる。

しかし迎えてくれた母の様子がどうもおかしい。。

割烹着を着ていたはずの母親が
艶やかなファッションに身を包み
イキイキとしている。
おまけに恋愛までしているようだ!

久々の実家にも自分の居場所がなく、

戸惑う昭夫だったが、
お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、
これまでとは違う〝母″と新たに出会い、

次第に見失っていたことに
気付かされていく。。

映画を観終わった母はひと言、

「よかったー!」と微笑んでいた。

どんなふうに何を母は感じたのだろうか。
そう思いつつも母にそれを聞くことはせず、
帰り道の道中には途切れ途切れに
映画とはまったく関係のない
他愛もない会話をして帰った。

派手な展開や演出はないものの、

淡々と描かれた日常がスーッと心に染みる。

母の娘であり、娘の母でもある私にとっては
どの登場人物の視点にも重なり、
まるで私自身の今を描写されているようで、
心の奥深くに染みた。

無事に帰宅し一息つくなり

「今日はありがとう!」と母からの言葉に

なんとも言えない、照れくさいような
申し訳ないような、複雑な気持ちになる。

母は生まれつき足が悪いうえ
八十を越えさらに
やっとの思いで歩いているので、
まだ呆けてはいないものの
やることがとにかく間怠っこしいのだ。

母自身もそんな老体に付き合ってくれて、
ということだろう。。

入退院を繰り返していた友人の母が
つい先日、これ以上施す術が無くなったため
自宅での療養介護となった。

友人は、自宅での看取りを決めたのだ。
訪問診療のドクターから、
最後のときについて話をされたようで
泣きながら書類を書いたと言っていた。

友人とは背負っているもの、
今世での役割のようなものがとても似ていて
彼女の存在に幾度となく助けられているし
同志のような気持ちで
決して他人事ではない。

ここ数年は特に、
顔を合わせればいずれ訪れる
親の介護の話と
50代を目前に残りの人生を
どう生きていくかが
もっぱらのテーマだった。

そんな矢先に、ひと足先に
介護というフェーズへと入ったようだ。

覚悟を決めた友人の姿が
とても強く感じられた。

いつかはと思いつつも
それはまだまだ先のことと思っていたが、
その"いずれ"は意外にも早く
また突然やってくる。。

仕事の復帰とコロナを理由に
両親をあまり連れ出さなくなっていた
自分を反省し、

”人生いろいろあったけど、最後は幸せだった”

と思ってもらえるよう
娘として、それが私の役目だと
改めて心に留めたのです。

誰もが「私」という人生の主人公であり
その人生を懸命に生きるのだ。と

山田洋次監督の伝えたかったことを
私なりの解釈として胸の中に落とし込んだ。

精一杯生きよう。

そして、

長生きしてね、「お母さん!」